2013年7月27日土曜日

「半沢直樹」なぜウケる?…視聴率を押し上げる関西のオバチャン

バブル世代の逆襲を描いたTBSテレビ系日曜劇場「半沢直樹」(午後9時)が評判ですね。初回(7月7日)の平均視聴率が関西地区で20・6%、第2話(14日)は19・9%。系列局のMBSなどスポーツ中継やあるまいし、瞬間最高率まで公表する力の入れよう。僕も2、3回見ないと語るのは失礼…と構えていましたが、同世代でもあり、キッチリはまってしまいました。

 バブル期に“東京中央銀行”に入行した堺雅人さん扮する半沢直樹が、内外に現れる「敵」と戦い、組織と格闘していく-という元銀行員で直木賞作家・池井戸潤さんの「オレたちバブル入行組」ほかが原作。番組公式フェイスブックを見ましたが、反響もすごいですよね。

 〈子供が『倍返し!!』を覚えてしまいました。…スッキリしますよね♪〉〈わかっているが…『そんなアホな話あるかーっ』とは小心者の私には言えない(笑)〉etc。中には〈(21日は)選挙放送やらずにドラマ放映すれば、さらに視聴率上がったような気がします〉と、局のホンネを代弁するような書き込みもありました。

 僕ら関西人にとっては出発点が「大阪西支店」というのがいいですね。支店の外観は見慣れた大阪・梅田の歩道橋越しに見えるアノ百貨店。その融資課長・半沢が西大阪スチールをめぐる5億円融資損失事件の後始末を強制されるのが発端ですが、下請け会社社長の赤井英和さんをはじめ、笑福亭鶴瓶さん、レツゴー三匹の逢坂じゅんさん、ラサール石井さん(帝塚山出身ですよ~)ら“これぞ大阪”という芸達者たちが固めています。

 個人的には、半沢の敵役の方々、国税局統括官の片岡愛之助さん(歌舞伎通には今イチみたいですが…)や支店長の石丸幹二さん、取締役の香川照之さんらのねちっこ~い演技がいいですね。それに、西大阪社長・宇梶剛士さんの“元族総長”を思い起こさせるド迫力は、稚拙な大阪弁をも相殺してしまいます。

 要はこのドラマ、関西を発端・舞台に「東京=権力(本店・国税)」vs「大阪=情(町工場・半沢)」というコテコテの構図が支えているわけ…って、これって思い出しません? 7年前に最終回に39・3%を叩き出したキムタク主演の「華麗なる一族」ですよ。今回、プロデューサー(福沢克雄さん)も音楽担当(服部隆之さん)も同じ布陣。福沢さんは、やはりキムタク&柴咲コウさんで大ヒットした「GOOD LUCK!!」の演出も担当しました。

 「セリフを畳みかけていくテンポの良さや場面転換の早さ、挿入音楽の使い方も含めて視聴者に息をつかせない。それに、北大路欣也ら豪華なキャスト。彼らの手法ですよ。日曜劇場の良さが出ています」とは元MBSのドラマプロデューサーの伊東雄三さん。「東の権力に立ち向かう反骨心がヒーローになっていく。“倍返し”や上司らへの啖呵(たんか)も、現状に不満をもつ人たちのハケ口になっている感じですね」との見立てです。

 初回と第2話の世代別視聴率を比較しても、大方の世代が横ばいか数ポイント落としたのに、F3層(50~69歳女性)だけが4・9ポイントと大幅増。見立て通り、最近のふがいない男どもに苛立つ関西のオバチャンが、半沢に快感を求めている証しでしょう。

 余談ですが、学生時代の友人でメガバンクに就職したA君にも連絡を取ってみました。それが何と、いま融資課長。まさに半沢そのものやないの!

 「最近よく言われるねんけど…。でも、ドラマみたいに上司の責任を部下に押しつけたり、その逆もないからね。それに世間で“エリート”と言われるほど銀行マンは甘くはない。上にも下にも取引先にも気ィ使ってクタクタ。役員になれんヤツは50代前半で取引先に出向するのが相場やしね。好き勝手なことを書いているキミがうらやましいわ」

 かくいう僕もリストラを経験した身。“倍返し”をもくろむ元気すらなく、互いに傷のナメ合いで電話を切ったのでした。(豊田昌継)(視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ)
yahooニュースより引用しました。

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