3月2日に授賞式が行われる米アカデミー賞の長編アニメ賞にノミネートされている宮崎駿監督(73)の引退作品「風立ちぬ」が、米国で高い評価を受けている。「The Wind Rises」の題名で今月(2月)28日から全米公開されるのを前に、先週末に行われた限定上映では1館当たり興行収入で全米2位の好成績を記録。欧米メディアは宮崎監督からの「最後の贈り物」と称賛し、引退を惜しんでいる。賞レースは、米ディズニーの「アナと雪の女王」との一騎打ちの様相だ。2001年の「千と千尋の神隠し」以来2度目の受賞はなるのか、その行方が注目される。(SANKEI EXPRESS)
■1館当たり興収2位
「映画監督としての宮崎氏の贈り物は、ゆっくりとした時間の経過、静けさや沈黙を最大限に生かして描く手法だ。それは現代の映画が嘆かわしくも失ってしまったものだ」
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は2月19日付で「宮崎駿監督の叙情的な告別」と題した記事を掲載。スピード感を重視した現代映画と一線を画す作品について論評した。
戦闘機「零戦」の設計者である堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で航空機の製作に情熱を燃やす青年を描いた「風立ちぬ」。宮崎監督は昨年(2013年)9月に、この作品を最後に長編アニメから引退すると表明。日本では昨年公開された映画の中で興収1位の120億円を稼ぎ出した。
映画業界誌ハリウッド・リポーター(電子版)によると、米国では今月(2月)21日から21の映画館で限定上映され、興収は計30万6000ドル(約3000万円)で、1館当たりでは1万4571ドルと全米で2位だった。2月28日からは全米450の映画館で公開される。
■審査員の心理に訴え
米国内の映画評論家の評価も高い。欧米の主要新聞・雑誌に掲載された映画評を集計する専門サイト「ロッテントマト」によると、肯定的評価が88%を占めた。
これは米国で昨年(2013年)11月に公開され、これまでに全世界で約9億8000万ドルを稼ぎ出し、ディズニーのアニメ映画として過去最大のヒットを記録中の「アナと雪の女王」の89%と、ほぼ互角だ。今年度のアカデミー賞作品賞の有力候補である「それでも夜は明ける」の96%や、「アメリカン・ハッスル」の93%と比べても遜色のない高評価を得ている。
「アナと雪の女王」は前哨戦である1月のゴールデングローブ賞のアニメ部門で最優秀を獲得。ハリウッドの地元紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)も「ここ10年、想像力の凍結に悩んできたディズニーは、この作品で本格的な雪解けを迎えた」と絶賛する強敵だ。
ただ、「風立ちぬ」が、世界のアニメ映画界に多大な影響を及ぼしてきた宮崎監督の引退作であることが、審査員の心理に働きかける効果は無視できない。
英紙ガーディアン(電子版)は「われわれの損失である」と、宮崎監督の引退を嘆いた。豪紙オーストラリアン(電子版)は、「最後にわれわれはこの作品が持つ力を判断しなければならない。それは卓越した不思議さであり、並外れた美しさである」と、アカデミー賞の審査員の評価を試すかのように、作品をたたえた。
msn産経ニュースより引用しました。
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