◇同じ生活していると思われたら… 実母への思い、将来の夢…共感
児童養護施設を舞台にした日本テレビ系の連続ドラマ「明日、ママがいない」。刺激的なあだ名などが論議を呼び、同施設などへの偏見を生むとして批判された。茨城県内には同施設が2013年3月末現在、11市町に19施設(定員906人)あり、676人の子どもたちが暮らしている。県内の子どもたちはドラマをどう思って見ているのか。ある施設を取材した。【土江洋範】
■「偏見助長する」
県内のある施設では、入所する小学生らがドラマ開始以降、「周りからドラマのような生活をしていると思われたら嫌だ」と登校を渋るようになった。さらに、複数の入所者が学校の友人から「施設ではあだ名で呼び合ってるの?」とからかわれたという。
同施設の男性施設長は「子どもたちはただでさえ、『貧乏だから入所している』と偏見を持たれている。偏見に追い打ちをかけるドラマだ」と指摘。入所する高校3年の女子生徒(18)も「偏見が怖くて、いまだに施設に入っていることを人に言えないこともある」と偏見を助長することを危惧する。
■「やはり肉親が」
女子生徒は母子家庭。母が育児ストレスから病気になったため、9歳で入所した。13歳の時、母は亡くなっているという。ドラマでは、育児放棄された幼児が母の匂いのするシャンプーのボトルを持ち歩く姿も描かれている。
女子生徒はこれまで8人の里親宅に訪問や宿泊をした。女子生徒は「里親を本当の親として見ることは難しい。やっぱり自分の親が一番」。実母を思う気持ちは強く共感できるという。また、入所する高校2年の男子生徒(17)はお金持ちになることを夢見る子どもたちの気持ちに共感した。「おいしい物を食べ、良い家に住みたい気持ちはある」
◇支援拡充効果に期待
■「頑張るしか」
父子家庭だった男子生徒は父の仕事が安定せず、2歳から入所している。今は父の仕事も安定し、高校卒業後は父と暮らすことも可能だ。しかし、美容師を目指して東京に行くという。ドラマ内では、女子高校生が「貯金もないのに自立しなければいけない。この国のシステムはどうなっているの?」と叫ぶ場面もある。
男子生徒は「退所後はアルバイトで学費や家賃を賄わなければならない。頑張っていくしかない」と夢に向かっていくつもりだ。施設長は「返還義務のない奨学金制度などを創設すべきだ」と述べ、注目を集めているテレビドラマがプラスに働くよう期待を示した。
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■ことば
◇児童養護施設
死別や虐待など家庭での養育が困難になったおおむね2~18歳の子どもたちが入所する民間施設。児童相談所の仲介で、子どもたちのうち約65%は同施設、1割弱が里親に預けられる。残りは乳児院や児童自立支援施設などに行く。児童養護施設経由で里親に預けられるケースもある。同施設での生活費は公費で賄われている。ドラマ「明日、ママがいない」では、赤ちゃんポストに預けられた主人公が「ポスト」というあだ名で呼ばれ、施設長が子どもたちに「お前たちはペットショップの犬と同じだ」と言い放つ場面も出てくる。
yahooニュースより引用しました。
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