2014年2月14日金曜日

彼らは僕の音楽を写す鏡 芸術監督・佐渡裕 スーパーキッズ・オケ10周年 全国ツアー

指揮者、佐渡裕(52)が芸術監督を務めるジュニアオーケストラ「スーパーキッズ・オーケストラ」が設立10周年を迎えたのを記念して3月、全国ツアーを開く。来秋からオーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督に就任するなど、国内外で精力的に活躍する佐渡が「最も僕らしい音がするオーケストラ」と大事にしている情熱の響きの旅となる。(安田奈緒美)
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 兵庫県立芸術文化センターを拠点に活動するスーパーキッズ・オーケストラは、厳しいオーディションを経て全国から集まった小学~高校生で構成。平成15年の誕生以来、延べ約100人の子供たちが参加してきた。
 佐渡はこの楽団を「子供たちは僕の姿を写し出す。その演奏で自分の姿を知ることができる」と鏡のように思ってきた。「教育のために10年間走ってきましたが、やっていくうちに僕自身がファンになった。世界を驚かす才能が純粋に音楽を奏でる集団です」
 鏡であるからには、自らが夢を追い続ける姿も示さなければならない。2011年、子供の頃からの「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したい」という夢がかなった時も、公表の何カ月も前に真っ先に子供たちに打ち明けていた。
 今、ヨーロッパではベルリンを拠点に各楽団で客演を続けている。来年9月からはトーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督に就任し、年間5回の定期演奏会出演や教育プロジェクトの企画などに携わっていく。
「100年を超える歴史の州立オケで、予算にも恵まれている。音楽の都で日本人の僕が音楽教育を考えるのも面白い。クラシックはウィーンの民謡ではなく、グローバル化していることを分かっているからでしょう。日本での経験も生かして、日本自慢しながら取り組んでいきたい」
 忙しい欧州と日本との行き来の中で最優先している一つがスーパー・キッズとの共演だ。毎夏の合宿では子供たちと楽器を置いて夜遅くまで語り合う。
 昨年は兵庫県養父市の合宿所で大雨の後、奇跡的に晴れた一夜を迎え、コンサートの後に花火大会をした。「練習中、子供たちの中でオケに対する愛着の度合いが違ってぎくしゃくする場面もあった。その葛藤の後にようやくいい演奏ができた。ご褒美のように感じた」
 寝転んで空を見上げると子供たちも横に並んだ。流れ星を数えながら、子供たちは自然と、さっきコンサートで弾いたチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」の自分のパートを歌いだして合唱になった。
 「現実には世界で闘争があり、戦争もある。けれど、音楽は全く別々の人生を歩んできた人々が一緒に生きていることを肯定してくれる。100人のオーケストラが同時に演奏し、2千人の聴衆が感動を共有できるというのはそういうことではないかな」
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 コンサートは3月23日、大阪・フェスティバルホール▽同24日、愛知県芸術劇場コンサートホール▽同27日、東京・赤坂のサントリーホールなど。

msn産経ニュースより引用しました。

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