人気漫画「課長島耕作」の作者、弘兼憲史さんと、出版元の講談社(東京都文京区)、検定プロデュース会社「ルート」(神戸市中央区)がコラボレーションし12月7、8の両日、同作の検定試験を講談社で実施する。誕生30周年を記念した企画で、ルートは今後も継続させたい意向だ。島耕作の作品は「課長」のほか「部長」「取締役」「常務」などもあり、単行本や文庫本の総発行部数は約4千万部、「課長」シリーズだけでも1898万部にのぼる超人気作。検定の「問題集」も発売された。ご当地検定がブームだが、漫画をテーマにした異例の試みで、ファンをさらに増やすことができるだろうか。(張英壽)
■会見に等身大の主人公も
今月17日、大阪市北区で開かれた検定の記者会見。ルートの中田孝成社長と高平省二・企画営業部企画課長、弘兼さんが記者たちの前に座った。弘兼さんの横には、身長177センチの設定の島耕作が等身大の姿で立っていた。「本日の主役」と胸にあるが、女性司会者は「のどの調子が悪いとのことでお話はできません」とジョークを飛ばし、会場の雰囲気が和んだ。
冒頭、中田社長が検定実施決定までの経緯を説明し、こう意気込んだ。
「企画は昨年12月くらいに私が持ち込んだのですが、弘兼先生は即決で判断してくれました。きょうからどしどしプロモーションしていきます」
一方、弘兼さんは、“試験勉強用”の「課長島耕作検定問題集」(税込み780円)が「ローソンHMVエンタテイメント」から先行出版されたことにからみ、「締め切りに追われ、最近自分でもやって(解いて)みたところ、10問中4問くらいしかできなかった。自分が書いたわりに、忘れていた」と苦笑した。問題集は「課長島耕作」のさまざまな200シーンから構成され、その背景を解説。たとえば、こんな問題が出されている。
「京都に赴任した島耕作は、1週間たっても妙な孤立感を感じていた。その理由は何か」(選択肢・(1)東京の言葉が京都では馴染まないから(2)パンメーカーで作ったパンを「うまくないな」と言ってしまったから(3)電熱器事業部の問題点を指摘したから)
「島耕作が浮気相手として最適だと思っていたのは誰か」(選択肢・(1)鳥海赫子(2)田代友紀(3)桜井恵子)
弘兼さんは「難しい問題もありましたが、解説のところを読むと、(問題にしている部分は)いいセリフだと思った。セリフが選ばれていて、ある意味ためになる」と改めて作品に自信をみせた。
そして島耕作シリーズについて「酒場に行っても、『島耕作』の話を聞く。これを検定にしたらどうだと思っていた。(ルート社長の)中田さんから話があってうれしかった」と振り返った。
■「初芝」の社員証が…
「課長島耕作」は昭和58年に講談社のモーニング誌上で始まり、平成4年まで続いた。単行本は全17巻、文庫本では8巻となっている。
今回の検定では、この「課長」シリーズの作品から、100問を出題。作中で島耕作が勤める「初芝電器産業(株)入社試験」として実施する。問題は3択式で、60点以上が合格。合格者には、初芝電器産業の社員証が交付される。また最高得点者(複数人の場合は抽選)には、弘兼さんのサインが入った島耕作の原画が贈呈される。
島耕作は前述した「177センチ」という身長のほか、「昭和22年9月生まれ」「山口県出身」「早稲田大学法学部卒業」などの設定がある。大学卒業後、初芝電器産業に入社し、順調に出世。現在はモーニングで「会長島耕作」が連載されている。66歳になる。
弘兼さんも島耕作の設定と同じく山口県出身で、66歳。同様に早稲田大学法学部を卒業し、松下電器産業(現・パナソニック)に入社し、3年間勤めた後漫画家に。会見でその時代を振り返り「3年間はネタの宝庫で、おもしろかった。それで30年間、(島耕作シリーズを)続けたのだからコストパフォーマンスは高い」と笑った。
ただ、「島耕作」シリーズがヒットしたのは、そうした3年間の経験だけでなく、娯楽性とともに、ストーリーに時代時代の経済事情を取材し加味した作品づくりが背景にある。弘兼さんは会見で「エンタテイメントが50%、情報が50%」と表現した。そうした魅力があるからこそ、多くの人に読み続けられている。
モーニング編集部では「島耕作のキャラクターは人に好かれる。派閥に入らず、自分の意志を貫く。また作者のストーリーの運び方が上手」と話す。
■次回は別シリーズも
ところで、本番の試験で出される100問は、今月発売された「課長島耕作検定問題集」に掲載された200問から出される。このため、問題集でじっくり勉強すれば、合格の60点以上は十分とれる。
主催する「ルート」の高平省二・企画課長は「できるだけ多くの人に、検定を知ってもらい、認知度を上げたかった」と説明する。次回は時期は未定であるものの計画しており、今度は「もっと難しくなる可能性もある」という。
ルートは検定をプロデュースする珍しい企業で、この仕事は11年前に始めた。これまでの顧客は主に会社で、社則を検定にする「社内検定」を多く手がけてきた。合格点に達すると、人事評価を高くするケースもあったという。検定問題は何度も顧客の会社と交渉するため、作成までに通常半年程度を要し、時間がかかる。
一方、同社はインターネット上に無料でさまざまな検定を受けられる「けんていDo」というサイトを運営。サイトを見ると、「つけまつげ検定」「パスタ検定」「靴下検定」などユニークなコンテンツが並ぶ。その種類は約1500にもなるという。ここに、講談社での検定試験に先駆けて今年9月から、「課長島耕作検定」を新たに追加。すでにウェブ上ではいつでも何度でもチャレンジできるようになっている。
ウェブ上の検定では、受験者からアンケートもとっており、「課長」シリーズだけでなく、「部長」などほかのシリーズも問題として扱ってほしいとの声が届いている。
多くの検定問題を作成してきたルートだが、漫画を扱うのは今回が初めて。高平課長は「次回はほかのシリーズの問題も入れたい」と話している。
講談社で実施される検定試験は12月7、8の両日とも、午前10時半~11時半、午後1~2時、午後3~4時の3部制で、各回とも100人を募集。受験料3千円。申し込みは「課長島耕作検定」のサイト(http://shimakosaku.kentei-do.com/)。11月15日から日付が変わる11月16日午前0時締め切り。
yahooニュースより引用しました。
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