ナメていた。よく考えたらこのタイミングで、このテレビ局が、このキャストでナメた作品を作るワケがない。もしかすると先にドラマの題名だけ明らかにすることで、視聴者にナメさせた上で、ギャップも含めた仕掛けだったのかもしれない。
そう邪推したくなってしまうほど、放送開始直前の『安堂ロイド』(TBS)の盛り上げが見事だ。もっとも最初、このネーミングを聞いた時には「『半沢直樹』の後枠にキムタクというのはわかるけど……ダジャレか。ないわー」と思い込んでしまっていた。
それが放送直前になって、期待度がグングン上がってきた。木村拓哉、柴咲コウをキャスティングしただけでなく、制作サイドの本気度が随所に感じられるからだ。他のキャストをざっとさらってみても、大島優子、桐谷健太、桐谷美玲、本田翼など、まさにいま“旬”の役者が顔を並べ、遠藤憲一や名取裕子といったベテランが脇をかためる。 http://www.tbs.co.jp/ANDO-LLOYD/chart/
脚本は『ケイゾク』『SPEC』を手がけた西萩弓絵。演出は『SP』『ブラッディ・マンデイ』の波多野貴文、『TRICK』シリーズの木村ひさし、『木更津キャッツアイ』や『タイガー&ドラゴン』の坪井敏雄が配されている。
さらに衝撃的だったのが、コンセプトと設定協力に名を連ねた人々の顔ぶれだった。そこにあった名前は、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明。そして庵野率いる“チーム・エヴァンゲリオン”のアニメーターたちだった。
『ゲゲゲの鬼太郎』や『シティーハンター』『機動戦士Vガンダム』などの原画担当だった鶴巻和哉、そして『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『紅の豚』の原画を手がけた前田真宏。いずれもエヴァンゲリオンシリーズにおいて、さまざまな形で絵作りに関わったキーマンである。
実際、この人選は演出面でも大きな影響を与えているという。ドラマのスタートに向けて、TBSのトーク番組に木村拓哉は精力的に出演した。そのなかで絵作りにからむエピソードが次々に出てくるのだ。
「台本のト書き(※注釈)に『敵のアンドロイドのアッパーカットを食らって、500mくらい吹っ飛ぶ』って書いてあるんですよ! 表参道で!」
「銀行の話で盛り上がってるその時間帯に……。(プレッシャーは?)ないって言ったらウソですね。でもそれがある程度面白いというか」
「アクションシーンに関しては、庵野さんが絵コンテを書いて、それを元に割本(収録日ごとに割り振られた台本)の間に急にイラスト画が入ってくる。そのイラスト画を元にスタッフがああ撮ろうこう撮ろうって。撮るならワイヤーアクションじゃないと無理だねとか。もうボコボコ(笑)」
オフィシャルサイトでの木村拓哉と柴咲コウの対談(http://www.tbs.co.jp/ANDO-LLOYD/intv/)でも、企画内容を知らされたキムタクが「出来るの?実写で?!」と思わず口にし、「本当に驚きました」と明かしている。
放送日が近づき、流される本編のシーンも増えてきた。確かにド派手なアクションシーンには、マトリックスシリーズを思わせる雰囲気も伺える。しかし本来ドラマで重要なのはあくまで、物語であり、役者の演技であり、その見せ方である。
豪華な素材に腕っこきの仕事人。料理ならばこの組み合わせは、ほぼ間違いなくおいしくなる。だが料理もドラマも、実際に味わってみるまではどうなるかわからない。答えが出るのは日曜の晩だ。
(松浦 達也)
文・All About News Dig編集部(All About )
ネタりかより引用しました。
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