波平さん、天国へ…声優・永井一郎さん急死

フジテレビ系人気アニメ「サザエさん」（日曜・後６時３０分）の磯野波平役などで知られる声優の永井一郎さんが、２７日未明、仕事先の広島市内で虚血性心疾患のため死去した。８２歳だった。磯野家の長として威厳と貫禄を示す一方、人のいい波平役を４５年務め、親しまれた。葬儀・告別式は後日営まれる。

　広島中央署によると、永井さんは２６日午後、広島市内の放送局で仕事をして同市内のホテルに宿泊。２７日午前にホテルの部屋の浴槽で倒れているのが従業員に発見され、搬送先の病院で死亡が確認されたという。事務所によると亡くなったのは２７日未明。死因は虚血性心疾患で、関係者によると糖尿病などの持病があったという。

　２７日に東京へ帰る予定だったという永井さん。東京・南青山の所属事務所には昼過ぎに一報が入り、スタッフや家族が慌ただしく広島へ向かい、永井さんの亡きがらと対面した。

　永井さんは、１９６９年１０月の放送開始から４５周年を迎える「サザエさん」の波平の声を務めてきた。サザエ、カツオ、ワカメの父で、しつけに厳しく「バカモ～ン！」と叱る声は、多くの人から親しまれた。フジテレビによると、直近の収録は２３日に東京・信濃町のスタジオで行われ、永井さんに特に変わった様子はなかったという。収録は２月９日分まで済んでおり、後任は今後検討する。

　フグ田タラオ役で、放送開始から永井さんと共演してきた貴家堂子（さすが・たかこ）さん（７２）は、スポーツ報知に関係者を通じて「残念です。信じられない。大事なことをたくさん教わり、善意の人でした」とコメントを寄せた。貴家さんは突然の訃報に動揺している様子で、この関係者は「２人は個人的な付き合いはなかったものの、先週の収録では（亡くなる）気配がなかっただけに、ショックだったようです」と話した。

　アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の子泣き爺（じじい）、「ＹＡＷＡＲＡ！」の猪熊滋悟郎、「機動戦士ガンダム」のナレーションを担当。洋画の吹き替えでは「スターウォーズ」のヨーダ役、「ハリー・ポッター」のアルバス・ダンブルドア校長役など。俳優として舞台「賢者の贈り物」（９５年）などに出演。所属事務所はホームページで告別式の詳細が決まり次第発表するとした。

　冨永みーな（磯野カツオの声）「急なことで、大変驚いております。ただただ悲しいです」

　◆虚血性心疾患　心臓に血液を送る冠状動脈が、動脈硬化などで狭くなったり（狭心症）、塞がったり（心筋梗塞）して、その先の部分に酸素が届かなくなる状態。突然死で最も多く、主な原因は高脂血症や高血圧、喫煙、糖尿病。

　◆永井　一郎（ながい・いちろう）１９３１年５月１０日生まれ。大阪府池田市出身。京大文学部卒業後、電通勤務を経て１９６２年の「アラビアンナイト・シンドバッドの冒険」でアニメ声優デビュー。ドラマ、映画の吹き替えなど広く活躍、サザエさんの磯野波平役は６９年の放送開始から携わる。身長１６０センチ、血液型Ａ。

yahooニュースより引用しました。