消費税増税が行われる2014年、アベノミクスはまだまだ続くのか、それとも元に戻ってしまうのか、今後の経済を先んじて予想おきたいものである。という事で元大蔵省出身、現在慶應義塾大学ビジネス・スクール准教授の小幡績さんに、今年の経済を占うための必読書をランキング形式で選んでもらった。
「2013年は世間も論壇もアベノミクスに席巻されました。アベノミクスの本質は、リフレという極端な政策によるショック療法により、日本経済への総悲観論からの脱却に成功したことにあります。デフレは実は関係ないのです。総悲観から脱却し、正常状態に戻った日本経済は、2014年、その本質、実力を問われます。経済の本質を理解するために、硬派な本を5冊挙げました」
【第1位】『雇用・利子および貨幣の一般理論』(ジョン・メーナード・ケインズ、塩野谷祐一/東洋経済新報社)
景気刺激策といえば財政出動であり、その学問的論拠はケインズのこの「一般理論」だが、ケインズの想定している状況は、大不況期であり、通常の景気対策とは異なり、また長期の経済成長を狙ったものではなく、世界が崩壊する際の危機対応の政策であることを再認識するためにも、もう一度原点に帰っておくために必読の書。難解といわれるが、原著を英語で読むのがベストで、日本語訳なら、この塩野谷訳が断然優れている。
【第2位】『金融政策のフロンティア: 国際的潮流と非伝統的政策』(翁邦雄/日本評論社)
アベノミクスのショック療法とは要は金融政策だが、このインフレを起こす政策について、きちんと理解することが、今年以降、金融市場及び経済がどうなっていくかを理解するためには必須である。そのためには、本書を読むのが一番。きちんと本質を理解でき、かつ世界的な中央銀行の置かれている状況をバランスよく知ることができる。
【第3位】『ハイブリッド・バブル』(小幡績/ダイヤモンド社)
自分の本で恐縮だが、今後の日本経済の唯一最大のリスクは国債市場。ここさえ守りきれれば、アベノミクスの副作用もアンダーコントロール可能だ。しかし、国債価格が下落し始めるのは危険。それを無理やり回避する日銀異次元緩和第二弾はさらに危険。不思議なのは、そんなに危険なのに国債は実際にはなかなか暴落しないこと。そのメカニズムを解明したのが本書。国債は安定と不安定を同時に内包したハイブリッド・バブルなのだ。
【第4位】『熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史』(チャールズ・P. キンドルバーガー/日本経済新聞社)
現在の株式市場や不動産市場がバブルかどうかは議論が分かれるが、近年、金融資産市場は、必ずバブルが起きている。バブルの発生、進展、崩壊を歴史的に記述した古典である本書は、バブルが起きているかどうか、自分で感覚的に判断するためにも必読。
【第5位】『上級マクロ経済学』(デビッド・ローマー、堀雅博/日本評論社)
現在の日本経済に必要なのは、景気対策ではない。財政出動でも金融緩和でもない。またバブルでもない。必要なのは、構造的に長期的な経済成長を実現することだ。ローマーは新・経済成長論を1980年代後半に引っさげて登場した。この本は優れたマクロ経済学の教科書だが(大学院生向けで難しいが)、経済成長論のところがやはり秀逸。ここだけでもぜひ読んでほしい。きちんとした経済理論における成長戦略は、テレビや雑誌で議論されているのとは大きく異なり、もっと基本に忠実だ。すべては知識とその担い手である人にある。
ダ・ヴィンチ電子ナビ「○○な本ベスト5」
アメーバニュースより引用しました。
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